【明石市】精神科に特化したサービス|訪問看護ステーションミント
2026/08/15
平和について考える
~当たり前のことが当たり前にできる幸せ~
8月15日は、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」です。
1945年の終戦から、今年で81年を迎えました。戦争を実際に体験した方々が少なくなるなかで、その記憶をどのように受け継ぎ、これからの社会に生かしていくのかが、あらためて問われています。
戦争を経験していない私たちが、当時の恐怖や悲しみを本当の意味で理解することは難しい。だからこそ、分かったつもりになるのではなく、残された記録や体験者の言葉に耳を傾け、何が起きたのかを知ろうとする姿勢が大切なのだと思います。
戦争によって失われるものは、命や住む場所、社会の基盤だけではありません。
安心して眠ること、家族と一緒に過ごすこと、学校へ通うこと、仕事をすること、自分の将来について考えること。人が日常のなかで当然のように営んでいる生活も、大きく損なわれます。
また、戦争が人の心に残す影響も見過ごすことはできません。強い恐怖や喪失、大切な人との別れ、先の見えない不安は、その後の人生にも長く影響を及ぼすことがあります。
こうして考えると、平和とは、単に戦争が起きていない状態だけを指すものではないように思います。
安心して暮らせる場所があること。必要な医療や福祉を受けられること。病気や障害があっても一人の人間として尊重されること。困ったときに「助けてほしい」と言えること。そして、その声を受け止めてくれる人がいること。
そのような日常が守られていることこそ、平和の大切な一面ではないでしょうか。
私たちは、精神科訪問看護という仕事を通じて、さまざまな生活上の困難を抱える方々と出会います。
こころの病気や障害は、外見からは分かりにくいことがあります。そのため、本人の苦しさが周囲に理解されず、「努力が足りない」「気にしすぎている」「もっと頑張れるはずだ」と判断されてしまうこともあります。
しかし、誰かの苦しさを、その人の弱さだけの問題として片づけてしまうと、必要な支援につながる機会を失わせることがあります。私たちに求められるのは、病気や症状だけを見ることではなく、その人がどのような環境で生活し、何に困り、どのような人生を望んでいるのかを知ろうとすることです。
そして、支援する側が答えを決めるのではなく、本人の言葉を聴き、その人が自分で選ぶことのできる道を一緒に考える。それは、その人の尊厳を守ることでもあります。
人の尊厳が守られる社会をつくるために、私たち一人ひとりができることは、決して特別なことばかりではないと思います。
相手の話を最後まで聴くこと。自分と異なる考えをすぐに否定しないこと。病気や障害、立場や経歴だけでその人を決めつけないこと。困っている人の声に気づき、必要な場所へつなぐこと。自分自身が苦しいときには、誰かに助けを求めること。
こうした日々の小さな行動も、人と人との間にある安心を支えています。
もちろん、日常生活における困難と、戦争によって生じる深刻な被害を同じものとして捉えることはできません。だからこそ、過去の出来事を知り、人の命や尊厳が失われることの重大さを考えることは、現在の社会において私たちが何を大切にするのかを見つめ直す機会になります。
異なる立場の人の声を聴き、対話を続けること。人を排除せず、それぞれが安心して暮らせる社会の仕組みを整えること。過去の歴史を忘れず、次の世代へ伝えること。そうした継続的な取り組みによって、平和は支えられていくのだと思います。
8月15日という日を、過去を振り返るだけの日ではなく、私たちがこれからどのような社会をつくっていきたいのかを考える日にしたいなと思います。
戦争によって亡くなられた方々を追悼するとともに、今を生きる一人ひとりの命と尊厳が大切にされ、誰もが安心して明日を迎えられる社会であることを願います。
私たちも、目の前にいる一人の声に丁寧に耳を傾け、その人らしい生活を支えるという日々の役割を、これからも積み重ねてまいります。
では、またです!

