ダイアロジカルスーパービジョン|【明石市・神戸市】精神科特化訪問看護ミント
2025/10/22
ダイアロジカルスーパービジョン|関西編出版記念講座の感想・まとめ
感動体験から学ぶ:ダイアロジカル・スーパービジョンの力とは
■対話から「第一歩」が生まれる瞬間を見て
先日、私は「ダイアロジカル・スーパービジョン(Dialogical Supervision)」という手法についての講義に参加し、その中で行われた30分間のデモンストレーションに深く感動しました。
スーパーバイザーが投げかける上質な問いと、相手(スーパーバイジー)がその問いに向き合うことで、自らの言葉で問題の本質に気づき、そして課題解決に向けて「最初の一歩」を描いていくプロセス。
そこには、アドバイスや指示は一切ありません。ただ対話があるだけです。
それにもかかわらず、むしろ「だからこそ」人が前に進む──その瞬間を目の当たりにして、感銘を受けましたので皆さんにも共有したいと思いました。
◇◇◇フィンランド発、対話文化のルーツ
このスーパービジョンの源流には、フィンランドの対話文化があります。
10年ほど前、フィンランドでは精神医療の現場で「オープンダイアローグ(Open Dialogue)」という革新的な手法が開発されていきました。
これは、精神疾患を抱える当事者を中心に、家族・医療者・支援者などが一堂に会し、診断や薬物に可能な限り依存せずに(結果的にそうなるといった方が正しいかもしれません)「共に話し合う」ことで回復を目指すアプローチです。(と私は理解しています)
この実践は医療現場の成果を大きく改善し、対話の力に対する社会的関心を高めました。
続いて、「アンティシペーション・ダイアローグ(Anticipation Dialogue)」という未来志向の対話手法が登場し、個人や組織が「これからどうありたいか」を共に考える枠組みが広まりました。
そこから派生して2010年、教育・福祉・職場など、あらゆる実践の中でより取り組みやすく活用できる形で体系化されたのが、「ダイアロジカル・スーパービジョン」だそうです。
そこから更に汎用性をたかめた手法としてまとめられたのがタイムアウト手法で誰にでも活用できる形のツールとして開発され、ありがたいことに日本語にも訳されたものが近々公開される予定だそうです。
◇◇◇パンデミック時に対話文化がもたらしたもの
さらに驚くべきことに、フィンランドではこの「対話の文化」が、国家レベルの危機対応にも活用されました。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックが広がった際、フィンランドでは対話の専門家たちが、オンラインで全国の人々と対話を行う活動を始めました。
対話の中核となった問いは以下のようなものでした:
「今、あなたが心配していることは何ですか?」
「このような危機の中でも、どんな希望を持っていますか?」
この対話の内容はすべて記録され、分析され、国民の声として政府に提出されました。
そして政府はそれらを国策の検討材料として活用し、社会施策を設計していったのです。
ーーーナショナル・ダイアローグの継続的実施
このような取り組みは一過性ではありません。
現在も年に2回、「ナショナル・ダイアローグ(National Dialogue)」として国を挙げての対話活動が継続されています。
トピックは以下のように多岐にわたります:
移民問題
安全保障
メンタルヘルス
若者の声
地域コミュニティの未来 など
これらの対話もすべて記録・分析され、政府機関に報告され、政策に反映される仕組みが確立されています。
対話が単なる「イベント」ではなく、民主主義を支えるインフラとして定着しているのです。素晴らしいですね!日本はパンデミックで集まることをひたすら絶たれ、多くの人が繋がりを一時的に失ったと思います。羨ましく感じました。
◇◇◇対話文化の根づいた社会とは?
この話を聞いたとき、私は心から感銘を受けました。
国民が自分の考えや不安、希望を「語ることができる場」が日常の中にあり、
その声が政策に反映される。つまり「自分の言葉が、社会をつくる材料になる」という実感を持てる社会が、フィンランドにはあるのです。
日本でも、こうした「声を聴く文化」「問い合う文化」がもっと広まっていけば、
人と人との信頼、そして社会への納得感や安心感も育まれていくのではないかと感じました。
◇◇◇講義で見た「問いから行動が生まれる」瞬間
このようなフィンランドの文化を背景にしたダイアロジカル・スーパービジョンの実演は、やはり非常に感動的なものでした。
スーパーバイジーは、当初はモヤモヤした問題意識を抱えていました。
しかしスーパーバイザーがスーパーバイジーの言葉や態度を決して評価せず、アドバイスもせず、繰り返し質の高い問いを投げかけることで、スーパーバイジー自身の中にある本質が少しずつ明らかになっていきました。
その問いの特徴は:
一緒に視点を整える問い(整理する)
視座をあげ、視界を広げる問い
焦点を絞る問い
沈黙を尊重し、急かさない問い
これらが積み重なったとき、スーパーバイジーはついに「自分の言葉」で語り始めました。
「私はまず、〇〇から始めてみようと思います」と。
それは、外から与えられた行動指針ではなく、内側から湧き上がる“納得と覚悟”に満ちた一歩でした。
たった30分です。本当に感激しました。
◇◇◇スーパービジョンの力を社会へ
このような実践が、精神医療や福祉だけでなく、学校現場や企業組織、地域活動などにも広がっていけば、
私たちの社会の在り方そのものが、より柔らかく、しなやかで、持続可能なものになるのではないでしょうか。
対話が、特別なものではなく「文化」として根づく。
そこに、人が育ち、学び、関係性が育まれる。
そして何より、「人の声が、社会をつくる」という当たり前の構造が確立される。
そのことに希望を感じながら、私はこの講義で学んだことを、自分の日々の実践に活かしていきたいと強く思いました。
このような講座を開いてくださった関係者の皆様にも感謝致します。みなさんとても話しやすい雰囲気の方ばかりで、安心して学ぶことができました。ありがとうございました。
※本記事は、実際に講義に参加した私個人の体験に基づいた感想や解釈を含んでいます。
では、またです!


