「友だちとうまくいかない」にどう寄り添う? 〜ASDの子どもの人間関係のサポート〜
2025/09/22
「友だちとうまくいかない」にどう寄り添う?
~ASDの子供の対人サポート~
「友だちに嫌なこと言われた」「一人で遊ぶほうが楽」
「ルールを守らない子とは遊びたくない!」
自閉スペクトラム症(ASD)傾向のあるお子さんを育てていると、友だちとの関係性で悩む場面が少なくありません。
うまくなじめない、トラブルになりやすい、すぐに距離を取る……
親としては「なんとか関われるようにしてあげたい」と願う一方で、
本人の気持ちが見えにくく、どうサポートしてよいか戸惑うこともあるのではないでしょうか。
今回は、ASDの子どもに見られる人間関係の特徴と、親としてできる関わり方についてお伝えします。
ASDの子どもが感じている“人づきあいのむずかしさ”
ASDの特性には、主に次のような「対人関係の困りごと」があります。
相手の気持ちを読み取るのが苦手
表情や言葉の裏にある“意味”が理解しづらい
会話のキャッチボールに違和感が出やすい
自分のこだわりを優先しがち
ルールに強くこだわり、柔軟に対応できない
たとえば、「今日は遊ばない」と言われただけで深く傷ついたり、
「ちょっと待って」と言われたのに“無視された”と感じてしまったり。
事実の捉え方によって行き違いが生じやすいと言えます。
また、本人には悪気はないのに周囲とすれ違ってしまう
自分では理由がわからないまま関係が崩れてしまうといった経験をお持ちの方も少なくありません。
こうした経験を繰り返すことで、人との関わりが“怖いもの”になってしまう子も少なくありません。
「無理して友だちを作らせようとしない」ことも大事な選択肢
現代の学校教育では、「友だちと協力する」「みんなで行動する」ことが重視されがちです。
ですが、全員と仲良くすること=社会性がある、というわけではありません。
ASD傾向のある子どもにとっては、自分だけのペースで過ごす時間がとても大切。
「ひとりでいる=問題がある」と決めつけず、その子に合った人間関係のスタイルを尊重することも必要です。
親が「なんとか友だちを…」と焦るほど、子どもは無理に合わせようとして疲弊してしまうこともあります。
具体的にどう支える?3つのステップ
✅ ステップ1:本人の“感覚”を否定しない
子どもが「〇〇ちゃんに嫌なこと言われた」と訴えたとき、
「そんなつもりじゃなかったと思うよ」「気にしすぎ」と返すと、心を閉ざしてしまうことがあります。
➡ まずは「そう思ったんだね」と気持ちを受け止めることが、信頼関係を守る第一歩です。
✅ ステップ2:具体的なやりとりを一緒に“言語化”する
ASDの子どもは、対人関係の出来事をうまく整理できず、モヤモヤしたまま抱えていることがあります。
たとえば…
【子】「いじわるされた」→【実際は】「ちょっとからかわれた」
【子】「仲間はずれにされた」→【実際は】「タイミングが合わず一緒に遊べなかった」
➡「それって、こんなことだったのかな?」と一緒に出来事を言葉で整理していく作業は、子どもにとって大切な“理解の土台”になります。
✅ ステップ3:「合う人」と出会う機会を広げておく
ASDの子どもは、誰とでもうまく関われるわけではありません。
でも、“同じテンポ”や“似た興味”を持つ子との出会いがあれば、自然な関係が育まれることもあります。
➡学校外の活動(習い事・放課後等デイサービス・地域イベントなど)に参加することで、無理なく関われる人との出会いが生まれることも。
親としては「広く浅く」より、「狭くても深く」を目指す視点が大切です。
実際にあったエピソード:ルールにこだわる子と友だち関係
小学4年生の男の子Aくん(ASD傾向)は、毎日ドッジボールのルールをめぐってトラブルを起こしていました。
「ライン踏んでるのに反則じゃないのはおかしい!」と怒って泣いてしまい、他の子からは「めんどくさい」と距離を置かれてしまう状態に。
親御さんは最初、「Aの正義感が強すぎる」と心配されていましたが、支援者が間に入り、「“正しさ”より“楽しさ”を大事にする遊びもあるんだよ」と伝える機会を作ることで、Aくんの中でも少しずつ“折り合い”を学ぶようになりました。
その後、「ルールがきっちり決まっているボードゲームクラブ」に参加し、自分のこだわりが尊重される場で友だちとの関係が育まれていきました。
親も“うまくいかなくて当たり前”の視点を
人間関係に悩む子どもを見ると、「自分の育て方が悪かったのでは」と落ち込む親御さんも多くいらっしゃいます。
でも、ASD傾向のある子どもにとって、対人関係の困難さは“特性”の一部です。
“がんばれば解決する”というものではないからこそ、うまくいかないことに親自身が慣れておくことも大切なのです。
子どもは「完璧な人間関係」ではなく、「安心できる大人の存在」があって育っていきます。
おわりに:ひとりじゃないから、子どもも親も育っていける
「友だちとうまくいかない」
その言葉の裏には、不安・寂しさ・戸惑い・怒り・あきらめ、たくさんの感情が詰まっています。
でも、それは決して“問題”ではありません。
人との関わりに悩むことは、誰にとっても“学びの入り口”です。
そして子どもが学んでいくように、親御さんもまた一緒に揺れ、悩みながら少しずつ“関わり方”を育てていけるのだと思います。
訪問看護や支援機関では、そうした“親子の成長のプロセス”に並走しながら、時には“うまくいかないことに慣れる”視点も伝えています。
「友だちとうまくいかない」ことは、決して失敗ではありません。
それは、子どもが“自分らしい関係”を探すための、はじめの一歩だと捉えてみませんか?
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